すきなひと。
次の日。
あたしはいつもより早い時間に学校に着いていた。
昨日のことで寝れなくて、ずっとゴロゴロしてたら、いつの間にか朝になってて。
学校いく準備も家を出る1時間前に終わって、そのまま家にいるのもあれだったし、学校に行くことにしたという感じ。
始業式の次の日だから、ほとんどの部活の朝練はないに等しい。
まぁ野球部とかそういう部活には朝練があるんだろうけど。
あたしは静かな校舎に入って、階段をのぼる。
でも教室に向かわず、体育館に足を向けた。
ドアのキィっと開く音が体育館に響く。
朝の体育館は静かで、日差しが爽やかに差し込んでいる。
この雰囲気が好きだ。
そもそも、何で体育館かと言うと、校舎の中で一番高いところだから。
屋上はあるって言ったらあるんだけど、屋上は立ち入り禁止。
だから、屋上以外で一番高くて、辺りを見渡せる所っていうのが、体育館ということ。大体、部活ない日とかにあたしは来てる。
部活あったときもたまに来るけど。
あたしは、カバンを足元に置き、イヤホンを耳にさし、iPodを胸ポケットに入れて、窓を開ける。
窓からは心地いい風が入り込む。
髪がふわっとなびき、シャンプーの香りが広がって。
自分のなのに、自分じゃないような気さえした。
あたしは空を見上げ、雲を見つめながら流れてる音楽を口ずさむ。
「歌、上手いんだな」
そんな声がして、バッと振り向くとそこには昨日出会った、高岡先生がいた。