すきなひと。


あたしは、邪念を吹き飛ばしHR開始のチャイムが鳴る前に急いで教室に向かう。
チャイムが鳴ると同時に、あたしは教室の中に滑り込んだ。


「吉純〜お前・・・」


「あ、おはよーございますー」


担任の言葉を遮りペコッと頭を下げて挨拶すると、笑いながら「はいはい、おはよーございます」と半笑しながら返し、席につくように促す。


「はーい」


あたしは、席につくと誰かの視線を感じ顔を向ける。
すると、汰希と目があったと思ったら、口パクで「ばーか」と言われて。
それに答えるかの様に、あたしは汰希をシカト。
チラッと見てみると、悔しそうな顔をしてた。


HRが終わり、リカが前の席に座る。


「こあが遅刻なんて珍しいじゃん」

「や、それがね」


あたしはリカに昨日あったことを伝えると、驚いた顔を見せて。


「そんなマンガみたいなことあるんだ?!」

「ほんまそれ!!」


リカは急にキョロキョロと周りを見渡し、小声で聞いた。


「で、そのスーツ着た人って先生なんでしょ?!誰??」

「それがね…」


あたしが名前を聞こうとした瞬間声が響く。


「おらー、席につけー」


そう、この声は昨日も今日の朝も聞いた声…。
あたしはそれを聞き、固まる。
その反面教室はざわめく。


「え?誰??」


リカは教卓の方を見ながらあたしに聞いたけど、答えられず、苦笑した。
その意味を感じ取ったのか、リカは勢いよく「マジで?!」と言った。


それが聞こえたのか、リカ越しに高岡先生と目があって。


・・・一瞬だけど、微笑まれた気がした。
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