すきなひと。


高岡先生は何とかみんなを落ち着かせて、号令を呼びかけ、授業を始めた。



「ん〜・・・この中に俺のこと知ってるやつは…」


「あー!!!悠平じゃん!!何してんの?」



声がした方を見ると、それは松岡 章汰だった。
章汰とは今年から同じクラスだけど、1年のとき委員会が一緒だったから、仲はいい。
一応名前で呼ぶ仲ではある。
そんな章汰は、嬉しそうに笑いながら先生を見ていた。



「おぉ。松岡!何って、今から授業すんだって」


「え?じゃあ何?先生になれたってことか!!」



2人は周りを忘れ盛り上がる。



「ま、そうゆーこと」



そう言って、ニッと笑って。
その笑顔に反応するように心臓はまた高鳴った。



「よっし、じゃあ自己紹介すんぞー。」



スーツを脱ぎ、袖を捲り自分が持ってきたチョークを握る。
そして黒板にでかでかと名前を書いた。
みんなはそれを食い入るように見てて。
名前を書き終えた先生は、こっちを見て自己紹介を始める。



「高岡悠平、23歳。因みに大学は偏差値高いところ(笑)で、質問は?」


「はいはいはい!芸能人で誰が好きですかー??」



そんなありきたりな質問が飛ぶ。


「なんだその質問!!笑 あ〜とりあえずコブクロは好きだな」



そんな感じで、いろんな質問を簡単に答えていく。



「じゃあ、次でラストな〜」


「はいはいはいはーい!どこ住んでるんですかー??」


「ここの隣町」



隣町というと、あたしの住んでる所か、反対側。
パッと顔をあげると、先生とバチッと目があう。



「えー??どっち?!」



その質問には笑って軽く流してた。
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