すきなひと。
1時間の授業はあっという間に終わって、ホッと胸を撫で下ろす。
挨拶を終えて、教科書をしまい込んでると、後ろに人の気配がした。
「ねぇねぇ」
呼ぶ声が聞こえて、振り向くと女の子4人が立ってて。
その子達はこのクラスの子で、ぶっちゃけ話したことは全くなかった。
「あのさ」
気の強そうな女の子が口を開く。
「なにー?」
「私達と友達にならない??」
「友達・・・?」
あたしは4人の顔を準々に見ていく。
視線が最後の一人で止まる。
その顔は見覚えのあるものだった。
「あれ?つっちー??」
思わずその名前を呼ぶ。
呼ばれた子は、あたしの顔をまじまじ見る。
「あ、やっぱ・・・よっしー?」
「うわ!ほんまにつっちーなん?!」
「ちょー久しぶりじゃん!!」
あたし達は感動のあまりハイタッチをした。
それに気付き、リカが近寄ってきて話に入る。
「こあどーしたの??」
「リカ!前に話してたやん?!中学んときやってたダンススクールで・・・」
「あぁ!!Sっ気丸出しの!」
それを聞き、そいつは笑い出す。
「心愛、どんな紹介してんだよ〜!!笑」
「え?やって、あたしんことめっちゃいじめてきたやんー」
「それは心愛のキャラがアレだったからでしょ(笑)」
2人で思い出しながら爆笑して。
話を大体知ってるリカも、あたし達を見て笑う。
話しかけてきた子達は、そんな様子を不思議そうに見てた。
その子は筒井美咲。
中2のときからの知り合いで、一緒にダンスをしてた。
しかも、美咲のお兄ちゃんの愁さんはダンス界で有名な人で、その上、美咲自身もダンスが上手かった。
だからみんなの憧れの的で。
美咲も、プロ目指すと思ってたから、まさか同じ学校だとは思ってなかった。
でも、素直に同じ学校でよかったって思う。
つっちー顔を見た瞬間、懐かしさが込み上げたし、一気にテンションが上がった。