すきなひと。


2限は担任の授業だったから、授業の変わりに席とか色々決めた。
あたしの席は廊下側から2列目の一番後ろ。
右隣には汰希。
あたしの右斜め前、汰希の前にはリカという素敵な席になった。
そして3限から、普通授業が始まる。
因みに科目は「古典」。



・・・ごほんっ
え〜、ただ今あたしは休みボケしてる体で、授業を真面目に受けてる途中なんですが。
その上、真面目に!!(ここ重要!)ノートにも授業内容を書いてますよ。
教科書だって読ん・・・



「ちょびヒゲー♪」


「・・・」


「わしはハゲではない・・・剃っているのだ」


「えー…」



えーと、とにかく今の状態を説明します。
汰希の机があたしとくっついてるんです。
何でかって?

教科書、忘れてん。
このアホ。

その上、あたしの新品の教科書に落書きを・・・



「あほちんが!!」



ぷすっとシャーペンの先を汰希の左手の甲に刺す。



「ちょーい!!」



そんな声を聞いて、みんなが振り返った。
周りからは「おい加藤〜」とか呼ばれて。
汰希は手の甲をさすりながらチラッとあたしを見る。
逆にあたしは、可哀想な子みたいな目で汰希を見てた。



「え?!心愛、何その顔!!」


「いや、急に叫ぶから頭おかしなったんかなぁ思て・・・」


それを聞いて、みんなが笑う。


「なんだそれ!!ひどくね?!つーかおま・・・」


汰希はそのまま固まり、前を見据える。
そんな汰希の視線を追っかけてみると、そこには先生がいた。
先生の名前は辻本 悟。
この先生も高岡先生と一緒で今年から非常勤講師。
見た目は、スラッとしてて爽やかなんだけど、出身が関西なのか、言葉遣いがあたしと似てる。

そんな先生と案の定あたしも目が合った。
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