すきなひと。
憧れ
新学期が始まって2ヶ月。
もうすぐで梅雨が始まる。
クラスの大半は仲良くなった。
苦手な子ともちゃんと付き合ってる。
汰希は変わらずのポジションで、人気も相変わらず。
2ヶ月の間で変わったことっていうのは、授業の進み具合くらい??
「あれ?こあ、筆箱は??」
今日最後の授業をしに理科室へ向かってる途中、リカにそう言われて気づく。
「あ」
「あーあ(笑)」
「・・・取りに行ってきます」
「先に行ってるね〜」
リカに教科書とノートを渡して、教室に向かう。
急いで階段をかけ上がってると、章汰が下りてきた。
「心愛、これ」
「わ?!」
章汰が投げて渡してきた物は、取りに行こうとしてた筆箱だった。
「なんで?!」
「机の上に置きっぱだったからな」
「ありがとー」
章汰は笑いながらあたしの横まで来て頭をぐしゃぐしゃと撫でた。
「行くぞ」
「ふぁーい(笑)」
科室に足を進めてる途中に、隣のクラスの高梁ヒロに会う。
ヒロとは、修学旅行の実行委員が一緒でそれで仲良くなった。
って言ってもまだ2ヵ月くらいしか経ってないけど。
時々、駅まで一緒に帰ったりと、そんな感じ。
「あ、こあ今日の放課後付き合って!!」
「えぇよ〜??何があるん?」
「勉強会!!じゃあたし遅れたらヤバいから行くわ!」
それだけ言って、ヒロは走っていく。
その様子を見てた章汰は時計を見てあたしに言う。
「あと1分でチャイム鳴るぞ」
「え・・・あ、ほんまや。走らなあかんやんー」
「・・・まぁ、いんじゃね?ちょっと遅れても。あの先生だし」
「…おじいちゃん先生やから?」
「そーゆーこと。ほら、行くぞ」
「ん(笑)」
あたしは、章汰の隣を歩く。
章汰はあたしの歩幅に合わせて歩いてくれてて。
そんな章汰は、ほんと優しいなって思った。