すきなひと。
「お〜い悠平ー」
入れ違いで、今度は辻本先生が入ってきた。
何でも、月曜日から実習生が来るから、その実習生達が使う机を運ぶから、手伝えって。
しかも、それを校長先生に頼まれたらしい。
だから断ることも出来なかったから、高岡先生を呼びに来たみたい。
「うわー、めんどくせー・・・ごめん。ちょっと行くなー」
めんどくさそうに立ち上がる先生を見て、あたしはスーツの裾を掴んだ。
「あ・・・あたしも手伝う!!」
「え?!ちょっとこあ!」
とっさにそんな言葉が口から出て。
めんどくさそうな表情を見せるヒロも巻き込み、机や椅子を運ぶのを手伝いに向かう。
机を運ぶと聞いていたから、自分達が使ってる机だと思ってた。
けど、それではなく・・・長机。
ほんまに予想外。
悠平は若干焦ってる表情をしてるあたしを見て、ぽんっと頭を叩く。
「無理すんな。聞いたよ、お前力ないんでしょ?」
「えぇ?!何で知って・・」
確かに自慢するようなものじゃないけど力がない。
力がなさすぎて、呆られたくらい。
親に笑われ、妹には馬鹿にされるという苦い過去もある。
「しかも、握力11だっけ?」
「ちゃう。11.5!!」
どっからそんな情報が流れたのか謎だけど、しっかり訂正して。
「そんな変わんねぇじゃん。てか、机運ぶのやめろ(笑)」
「やだ!!手伝うって言ったからやる!」
「はぁ・・まぁいーけどさ、ん〜…じゃあ椅子運びな」
「ふぁ〜い」
イスを渡され、あたしはイスを受け取った。