すきなひと。



「〜〜〜〜〜〜っ・・・ゆっ指輪!!」


「指輪?」


「か・・彼女おるんかなぁ〜って」


「あぁ・・まぁね(笑)」


それを聞いた瞬間、目の前がグラついたような気がした。


「あ、そぉなんや?彼女かぁ。えぇなぁ!付き合ってどんくらいなん?!」


平然を装って、あたしは喋りまくる。


「もうすぐで1年かな」


「へ・・・へぇ。そぉなんや?!長いなぁ。羨ましすぎやわ〜どぉせラブラブなんでしょー?」


胸がズキズキしながらも、話を続けて。
泣きそうになったけど、我慢した。


「ラブラブじゃねぇよ。ほら、心愛行くぞ」


悠平は、頭をポンポン叩いてコーヒーを飲みながら、歩きだす。


「――っ・・・」


あたしは、耳を疑った。
また『心愛』って・・・あたしのこと、名前で呼んだから。


ヤバいくらい顔が熱くなる。


悠平が振り向こうとしたから、あたしは顔を下に向けた。


「・・っ先生・・・あたし、今からヒロ迎えに直樹くんのとこ行ってくるっ」


「直樹って実習生の安藤?」


「そ・・そう!」


「ふぅん。つか、何でお前は俺のこと先生なわけ?」


「え?」


「や、何でもない。じゃあな、吉純」


悠平は、あたしの顔を見ずに階段を上って行った。
あたしはそれを見たまま固まる。
言った意味がだんだんわかってきて。


「・・・・それって…」


「あれ心愛ちゃん、そこで何してんの?」


「あ…えと…」


「顔赤っ!!」


直樹くんに言われ、あたしは益々顔が熱くなったのがわかった。
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