すきなひと。
「あれから、相変わらず。今からメール返すとこ」
「ふぅん?好きなんだね〜」
ニヤニヤしながらリカがあたしに言う。
けど、あたしはメールを打ちながら表情変えずに言った。
「憧れやで」
って。
「憧れか〜」
「うん、送信!」
――――――――
[新規メール作成]
:06/04 19:35
:高岡 悠平
件:なんだとぅ?!
----------------
(*言*)←悠平
水沢の相手してる
ときの顔ー
似てる〜!!
悠平だー(笑)
――――――――
「帰ろか」
「ん。」
「・・!」
名前を呼ばれた気がして振り返る。
「え?リカなんか言った??」
リカはお茶をすすりながら答えて。
「言ってない」
「あれー?気のせい??」
「・・・ずみっ・・・心愛!!」
「はい?!」
名前を呼ばれキョロキョロ辺りを見渡してると、上から視線を感じた。
恐る恐る顔を上げるとそこには悠平と辻本先生がいて。
あたしは、自然に笑顔が溢れる。
リカもあたしの視線の先に気づいて見上げた。
「なんや〜」
「なんやってなんだよ(笑)」
「あはは」
「あははじゃねーっつの!…心愛、気ぃつけて帰れよ」
「わかってます〜」
「変な人についてくなよ?」
「あ、・・悠平みたいな人?」
今度こそ自然と『悠平』に呼び方を変えると、悠平は照れたような素振りをした。
正直、暗くて表情はあまりわからなくて。
「なわけねーだろ(笑)ほら、帰れ!」
「はいは〜い!じゃあ、また明日ね」
「勉強しっかりな」
「へ〜い」
「藤塚な!」
「わかってます〜」
あたしとリカは顔を見合わせて笑いながら2人に手を振って帰路につく。
呼び方が変わることによって、あたしと悠平の距離が縮まったような感じがした。