すきなひと。
瞬間
「ふぅ…」
胸を押さえあたしは顔を上げる。
吉純 心愛 16歳 高校2年生
高校生になって2回目の春。
あたしはドキドキしながら2年生のクラス分けの紙が貼ってある所に向かった。
うちの高校は進学クラスと総合クラスの2つがあって、その中でも文系と理系に別けられている。
A・B・C組が総合クラスで、D・E・F組が進学クラス。
因みに、A・D組が理系で、B・C・E・F組が文系。
あたしは、進学クラスの文系だからE組とF組を見る。
「こあー!!」
名前を呼ばれ振り返ろうとした瞬間、背中にどんっと衝撃が走る。
そして、あたしは前のめりになり前の人に抱きつく体勢になった。
「おわっ?!」
「ぅわ…っ!!ごめんなさい!」
急いで体を離し、頭を下げる。
「あれ?心愛じゃん」
パッと顔を上げると、そこには加藤 汰希(タイキ)が立っていた。
汰希とは去年同じクラスで、男子の中で一番仲がいい子だったりする。
お互い冗談を平気で言い合える仲で、友達以上恋人未満な間柄だと勝手に思ってる。
「なんだ、たいちゃんか・・」
ほっと胸を撫で下ろしてると、後ろから声がした。
「ここあ、ごめんー」
今度こそ振り向いて見ると、そこには藤塚 リカがいた。
リカは申し訳なさそうにあたしを見つめる。
「やっぱしリカ(笑)」
「まさか、あーなるとは…けど、汰希でよかったー。もし他の人だったらどーしよーかと思ったよ」
「俺も心愛でよかったー」
「「…は?」」
あたしとリカがそう言うと、汰希は
「なんだよ…」
と膨れて言った。