すきなひと。
「今、何か服持ってる?」
「持ってんで!ダンスのやつ」
「じゃ、とりあえず着替えてきなー」
「ん、じゃあトイレで着替えてくる〜」
あたしはそれだけ言ってトイレに向かった。
Tシャツの他に薄手のパーカーを持ってたから、そっちに着替える。
学校のスカートとの相性はすごくいい。
ぴゃーっと着替えて、ジャケットとシャツを鞄の中に突っ込んで、汰希の所に戻った。
「早かったな〜よし、行くかっ」
「うん!!」
汰希の後についていく。
着いた場所は、駅の近くにある公園。
「久しぶりにココ来た〜」
「そっか(笑)」
「うん!」
汰希はギターを出して、準備をし始めた。
あたしは汰希の左側にちょこんと座って、その準備を眺める。
することないかって聞いたら、座っとけって言われたから。
「よっしゃやるか!」
チューニングが終わった汰希はギターをジャンッと弾いて、深呼吸する。
そして歌い始めた。
その曲はスピッツの「ロビンソン」。
あたしも一緒に口ずさんだ。
「心愛、お前上手いじゃん」
「そ?ありがと」
「じゃあ、これ一緒に歌お!」
そう言って引き出したのはHYの「モノクロ」。
あたし達が歌ってると周りに人が集まってきた。
ハモりも上手く出来て、それは汰希がビックリする。
予告もせずにあたしがハモったから。
そんなこんなで歌が終わると、拍手が起こって。
あたしと汰希は頭を下げる。
「上手いね〜!!あの、リクエストしていっすか??」
「どうぞー!!」
汰希がにこにこして答える。
「HYの涙が聴きたいっす」
「りょーかい!!こあ、お前」
「いけるよ?」
「よっしゃ!じゃ、いきまーす」
一度息を吐いて、汰希は静かに弾き出した。
静かに音を聴いてる人達。
何となく切なくなる雰囲気。
曲が終わると、また拍手が起こった。