すきなひと。


「今、何か服持ってる?」


「持ってんで!ダンスのやつ」


「じゃ、とりあえず着替えてきなー」


「ん、じゃあトイレで着替えてくる〜」


あたしはそれだけ言ってトイレに向かった。
Tシャツの他に薄手のパーカーを持ってたから、そっちに着替える。
学校のスカートとの相性はすごくいい。
ぴゃーっと着替えて、ジャケットとシャツを鞄の中に突っ込んで、汰希の所に戻った。



「早かったな〜よし、行くかっ」


「うん!!」


汰希の後についていく。
着いた場所は、駅の近くにある公園。


「久しぶりにココ来た〜」


「そっか(笑)」


「うん!」


汰希はギターを出して、準備をし始めた。
あたしは汰希の左側にちょこんと座って、その準備を眺める。
することないかって聞いたら、座っとけって言われたから。


「よっしゃやるか!」


チューニングが終わった汰希はギターをジャンッと弾いて、深呼吸する。
そして歌い始めた。
その曲はスピッツの「ロビンソン」。
あたしも一緒に口ずさんだ。





「心愛、お前上手いじゃん」


「そ?ありがと」


「じゃあ、これ一緒に歌お!」


そう言って引き出したのはHYの「モノクロ」。
あたし達が歌ってると周りに人が集まってきた。
ハモりも上手く出来て、それは汰希がビックリする。
予告もせずにあたしがハモったから。
そんなこんなで歌が終わると、拍手が起こって。
あたしと汰希は頭を下げる。


「上手いね〜!!あの、リクエストしていっすか??」


「どうぞー!!」


汰希がにこにこして答える。


「HYの涙が聴きたいっす」


「りょーかい!!こあ、お前」


「いけるよ?」


「よっしゃ!じゃ、いきまーす」



一度息を吐いて、汰希は静かに弾き出した。
静かに音を聴いてる人達。
何となく切なくなる雰囲気。
曲が終わると、また拍手が起こった。
< 50 / 57 >

この作品をシェア

pagetop