すきなひと。


汰希に歌声を気に入られ、ストリートライブ3日目を乗りきった次の日、あたしは眠くてしょうがないのを我慢して、学校に行った。



「・・・はよぉ」


「よし!!あんた昨日の凄くない?!」


眠い目を擦りながら教室に入った瞬間、待ち構えていたかの様につっちーがあたしの肩を掴んで揺らす。


「ぅあー・・・ちょいっと落ち着きんしゃい〜」


その様子を見てたリカも、面白そうに寄ってきて。


「なになになに?!どうしたの??」


「昨日、放課後にダンスの練習した後のことなんだけどさ、飯食べに行こうとしてたのね」


「うんうん」


「誘おうとしたら、加藤があたしからよしを奪ったわけよ」


「奪った?」


「そー。で、とりあえず後付いていったら、公園で歌い出したわけよ」


「それって、路上ライブってこと?」


「うん。それがさ、すっごく上手いの!!」


「こあ、歌上手いのは知ってたけど、路上ライブって!すごいじゃん!!」



そんな2人のやりとりを、静かに聞いてるわけではなく、あたしは席についてうとうとしてた。


「でっでっ!!よしはボーカルやるの?!」


「やるのやるのっ?!」


あとちょっとで眠れるってときにリカとつっちーのテンションの高さに負けて。


「ん〜まだわからへん」


「よしなら絶対イケるって」


「それか暇つぶしにやってみたら??」


「う〜ん・・・暇つぶしかぁ」


あたしが考え込んでると、チャイムがなった。
< 52 / 57 >

この作品をシェア

pagetop