すきなひと。
「ダンス部の子チラッと言ったら、どうしても見せてくれって」
「は?!聞いてないって!!」
「今日初めて言ったからね」
「ちょ、なんそれ!!あたしは章汰らに見せるだけやと思ってたのに…」
いやな予感は当たってた。
言われてみれば、練習始めた日に知らない子たちがいっぱいいた。
もしかしたら、あの子たちはダンス部の人たちだったのかもしれない。
なんでダンス部に頼まれたのかっていうと、つっちーが憧れの的だから。
つっちー自身がダンス部に所属してるとかそんなんじゃない。
ダンス界でつっちーが有名なだけ。
筒井兄妹って。
つっちーと練習してるときチラッと聞いてみた。
なんでこの学校にしたのかって。
ちゃんとした学校でダンスをやると思ってたから、一緒の学校だと気づいたときビックリした。
才能あるのにって。
つっちーから返ってきたのが
「愁兄見てたら、もったいないって思った。あたしに今必要なのは、こういう時間を過ごすことなんだって。タイミングを逃したってみんな言うけど、そんなの自分でいくらでも作れると思うし。甘いかもだけど、自分の頑張り次第じゃん?それに、今しか出来ないことを、今しなきゃもったいないっしょ」
って答え。
つっちーらしいなって今でも思う。
そのとき2人で“楽しまなきゃ損”って笑いあった。