すきなひと。



「ダンス部の子チラッと言ったら、どうしても見せてくれって」


「は?!聞いてないって!!」


「今日初めて言ったからね」


「ちょ、なんそれ!!あたしは章汰らに見せるだけやと思ってたのに…」



いやな予感は当たってた。
言われてみれば、練習始めた日に知らない子たちがいっぱいいた。
もしかしたら、あの子たちはダンス部の人たちだったのかもしれない。


なんでダンス部に頼まれたのかっていうと、つっちーが憧れの的だから。
つっちー自身がダンス部に所属してるとかそんなんじゃない。
ダンス界でつっちーが有名なだけ。
筒井兄妹って。

つっちーと練習してるときチラッと聞いてみた。
なんでこの学校にしたのかって。
ちゃんとした学校でダンスをやると思ってたから、一緒の学校だと気づいたときビックリした。
才能あるのにって。


つっちーから返ってきたのが


「愁兄見てたら、もったいないって思った。あたしに今必要なのは、こういう時間を過ごすことなんだって。タイミングを逃したってみんな言うけど、そんなの自分でいくらでも作れると思うし。甘いかもだけど、自分の頑張り次第じゃん?それに、今しか出来ないことを、今しなきゃもったいないっしょ」


って答え。
つっちーらしいなって今でも思う。


そのとき2人で“楽しまなきゃ損”って笑いあった。
< 55 / 57 >

この作品をシェア

pagetop