C校舎の城ヶ崎くん
「あ、あの…」





隠れる理由もないので、普通に扉を開けながら中に入った。


扉は音を立てながら、閉まった。




「七宮さん、どうしたの」

「え、えっと…まっつんに、城ヶ崎くんが中々戻らないっていうから」

「もしかして、告白が長引いてるから見て来いみたいなこと言われたわけ?」

「う、ん」





座っている城ヶ崎くんと、立っている私。


5時間目のときとは違い、学ランを着ていた。




「ふうん、で、また覗きをしようと思ったわけ?」

「ちっ、違……わなくもない、かな」

「ははっ、正直」





城ヶ崎かんの笑顔は、好きだ。

すごく光ってて太陽みたい。




「ねえ、七宮さん」

「なに?」





とても優しそうな瞳。

その瞳に見つめられ、ドキリとする。





「俺の好きな人、もしかして知ってたりするの?」





そう言った城ヶ崎くんの顔は、いつの間にか真剣になっていた。



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