C校舎の城ヶ崎くん
「一目惚れって信じる?」
「う、うん。信じる」
不意に話し始めた。
視線を床から外し、城ヶ崎くんの方へやるが、彼はまだ目を逸らしたまま。
私はその場に座った。
「一目惚れだったんだ。中学入学して、初めて見た時惚れた」
そう呟く城ヶ崎くんの顔は、ほんのり赤く染まっていた。
中学を入学したときの、高梨先生を思い浮かべているのかと思うと、無意識に唇を噛み締めていた私。
「でも俺はC校舎だし、なかなか会えなくてさ」
「…うん」
「下校するときなんか必ず探してた」
嫌だ、聞きたくない。
心の底でそんな声がする。
今すぐ耳を塞いでしまいたい。
ここから逃げ出したい。