C校舎の城ヶ崎くん
「好き、本当に好き。俺が言っても信用できないだろうけど、好きなんだ」
今度は、目が合った。
男らしい目。
私が告白されているわけでもないのに、胸が高鳴った。
「そ、そっか」
「…おう」
なんだろう、この痛みは。
それに、心に穴がポッカリ空いたような気もする。
抜き取られたような、落とされたようなそんな感覚。
「告白なんてやったことないし、信用ない俺が言っても…」
「そんなことないよ」
気づけば、口にしていた。
城ヶ崎くんが高梨先生に告白をする場面は、嫌だ。浮かべたくもない。
でも、城ヶ崎くんが自分のことをそんな風に思うのはもっと嫌だ。
「そんなことない、そんなことないよ」
「……七宮さん?」
城ヶ崎くんには、卑屈なことを考えてほしくない。そんなの似合わない。
少し開いている窓から、そよ風が入り込んだ。
私と城ヶ崎くんの髪を揺らし、通り過ぎる。