C校舎の城ヶ崎くん


呆気にとられてしまった。


それもそうだ。


罵声のひとつやふたつ、浴びせられるかと思ったのに。




もしかして今、心配されたの!?


あの城ヶ崎くんに!?




口を開けてバカ面をする私なんか放置して、質問が繰り返される。




「何やってんの?」




今度は右手も差し出してくれた。



こ、これは…俺の手を取って立ち上がれっていうこと、よね?




躊躇しながらその手を取り、立ち上がった。




「大丈夫なの?」

「は、はい!ありがとうございます!」

「別に。それよりなんで寝てたの?」

「ね、寝てた…?」




寝てた?

寝てたように見えたの?




綺麗な顔を20度程傾げながら、放たれた言葉がそれとは。




もしかして城ヶ崎くんは天然さんなの?


それとも冗談が好きなの?




なんて返せばいいか分からず、オロオロしながら眉を下げていると、周囲から痛いほどの視線を感じとった。





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