C校舎の城ヶ崎くん
「千代ちゃんさ、龍のこと好き?」
「ななななな!!」
いつものまっつんとは違い、穏やかなオーラが漂っている。
私は返す言葉に戸惑った。
まっつんは私の頭に手を添え、よしよしと撫で始めた。
身長差があるので、私はまっつんの胸辺りを見る。
「いいんだよ、好きなら好きで」
「...............す、すきです」
「うん」
こんな優しい人が不良グループの一員だとは......。
好き、と言ったとき胸がやけに高鳴った。
私が城ヶ崎くんを好きだというなによりの証拠かも。
「ユッペのこと、許してやってな?」
「う、うん」
「普段はまあ生意気な奴だけど良い奴なんだよ」
「うん」
普段のユッペを私は知らない。
私を見るといつも嫌そうに顔をしかめるんだから。
俯く私。
そんな私にまっつんは両手を頬に添えて持ち上げた。
「そんな顔しないで。女の子には笑顔が一番似合ってる」
ふわりと微笑むまっつんに、私はぎこちない笑顔を見せた。
「龍がいなくて、良かったな。いたら、大変なことに、なってる」
「ハ、ハハ」
「龍に、言いつけようか」
「ヤメテクレ」
アキと会話し、ふと思い出したかのようにポケットを漁った。