C校舎の城ヶ崎くん
泉美さん
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「で、太郎には聞けなかったと」
「う、うん。ごめん」
翌日桃ちゃんが家に来た。
私は昨日のことを話し、頭を下げる。
「謝らなくていいって!」
「キタロのカバンもなかったし、多分帰ってたんだと思う」
「そ、か」
キタロもいないし、城ヶ崎くんもいなかったし。どうなってるのかな。
最近城ヶ崎くんに会ってない気がする。
校舎が違うから、すれ違うこともないし帰りに見かけることもない。
城ヶ崎くんの家がどの辺りなのかも分からない。同じ方向なら学校の行き帰りに見かけるだろうし…。
「あんたはどうなの?」
「え?」
「城ヶ崎と話とかしてんの?」
「し、してないよ!」
私だってあの笑顔をはやく見たい。
城ヶ崎くんに会いたい。
でも会えない。
「ふうん........ん?」
「桃ちゃん?」
「携帯鳴ってない?...............わたしか」
今私の部屋には桃ちゃんと自分しかいない。
私は携帯を持っていないので、携帯の音は桃ちゃんのだ。
桃ちゃんは携帯を取り出してピコピコと文字をうちこむ。