C校舎の城ヶ崎くん


「千代はどこか行くの?」

「うーんと、宮古通りにでも行こうかなと。あそこ服屋さんとかたくさんあるから」

「へえ、服買うの?」

「まあ、見るだけかな。良いのあったら買おうと思ってる!」




えへへ、と笑った私の頭をわしゃわしゃと撫でた。


くしゃくしゃになった髪を「もう、桃ちゃん!?」と言いながら直す。




「じゃあね!」

「あれ、もう?」




立ち止まった桃ちゃんの近くにはケーキ屋さんが。


どうやら話し込んでるうちにここまで着いたようだ。




「今度は…」

「なに?」

「千代ばかりに頼るんじゃなくて、自分から積極的にいくようにする」

「いきなりどうしたの桃ちゃん」




そう言うとそっぽを向いてボソリと呟やいた桃ちゃんの言葉を聞き逃さなかった。




「千代は千代の恋があるし…それにこれは私の恋だから」






桃ちゃんの瞳には迷いがなく、なにか吹っ切れたようにも見えた。





「じゃ、良い服あったら写メ送ってねー!」




ふふっ、と微笑みながら手を振り、ケーキ屋さんに入って行った。


私も手を振り返しながら、桃ちゃんが見えなくなると宮古通りに向かって足を進めた。

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