C校舎の城ヶ崎くん
「私の好みだったんですけど、あんまり似合わなかったので…」
「こういうのが好みなんですか?」
そういってワンピースをピラッとつまみ、なにかを考える素振りをした。
「あたし、こういう服持ってますよ?」
「え…?」
「最近はこういうのはあんまり着ないんで、処分しようかと思ってたんですよねえ」
ポカーンと口を開けている私は、泉美さんの天使のようなお顔とはかけ離れていただろう。
「泉美さん、大人ぽい服を着そうですもんね」
「そうなんですよ。最近黒い服ばかり買ってるんですよ。だから白はもういいかな、と」
金持ちの発言だ!
私がお母さんにそんなこと言ったら絶対怒鳴られるのに。
怒鳴るお母さんを想像しながら苦笑いした。
「よかったら、家に来ます?千代さんに似合いそうな服、たくさんありますよ」
ニッコリと太陽にも負けないくらいの眩しさを醸し出しながら、私に微笑んだ。
でも知らない人の家にいきなり行くのは遠慮してしまう。
桃ちゃんなら今の私を見て、怖い顔しながら「断れ」とか言うんだろうなあ。