C校舎の城ヶ崎くん
唇が震え、声も情けなく震えている。
私が城ヶ崎くんのことを好きだと泉美さんにバレたらどうしようという不安と、彼女だと答えられたらどうしようという不安。
ふたつの不安を呑む込むかのようにゴクリと喉を鳴らした。
「んー…なんだと思います?」
「えっ……と」
ニヤリと笑いながら、逆に聞かれた。
私はタラリと汗を流しながら言葉を探す。
彼女さん?と聞いて首を縦に振らるシーンを想像すると胸が締め付けられた。
高梨先生と泉美さんはタイプが少し似ている。
もし、本当に泉美さんが城ヶ崎くんの彼女なら私に勝ち目はない。
「そうだねえ、うーん。見たまんま?」
「そ、それっどういうことですか?」
言葉を探していると、ヒントらしきものを与えてくれた。
私は泉美さんをじっと見ながら聞く。
「あたしがなんで、龍の家にいるか。あたしがなんで、龍のことを呼び捨てにしてるか。とか…見たまんまです」
ドクン
や、やっぱり……
まさか……
「も、しかして…かのじょ……」
「あっ!龍!!できたの?」
「おう。焦げずに完成」
彼女さんですか。
その質問は泉美さんの嬉しそうな声にかき消された。