C校舎の城ヶ崎くん
「わ、私なんかでよければ是非!!!」

「…どうも」





帰ってお母さんにタルトの美味しい作り方、教えてもらおう。



と、内心意気込んでいると目の前に置いていた空のお皿がなくなっていた。





「じょ、城ヶ崎くん!」

「なに」

「私もやるよ!」





城ヶ崎くんがお皿を運んでいた。


さすがに人様の家で、何もしないでソファで寛ぐのもどうかと思い、立ち上がった。





「いいよ、別に。お客様だし」

「よ、よくないよ。私も手伝う」

「……じゃあイズの皿と、残りのコップ持ってきて」

「わかった!」





私は城ヶ崎くんに頼まれたことで顔が緩み、嬉々としてお皿たちを運んだ。



泉美さんはどこへ行ったのか、リビングを見回してもいなかった。





「城ヶ崎くん、泉美さんはどこに行ったのかな。全然気づかなかったや」






あっ!もしやお手洗い?


こ、これは男性に聞くことじゃなかったな。


なんで私ってこう、気がきかないんだろうか。




「あぁ、あいつはこれから勉強」

「勉強?」





お手洗いじゃないのか。よかった。



台所で洗い物を始めている城ヶ崎くんの元へ歩み寄り、食器を流しへ置いた。
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