C校舎の城ヶ崎くん



パリーン





城ヶ崎くんが洗っていたお皿が床に落ちて、割れた。




「城ヶ崎くん!大丈夫?」





慌てて城ヶ崎くんの方を向くと、放心状態だった。



肩を揺さぶると「あ、あぁ」と言いながらお皿の破片を拾う。





「わ、私も」

「いい。怪我する」





怪我するって…城ヶ崎くんこそ割れた破片で怪我しないか心配だよ。



私も手伝おうと、掃除機を探す。






「掃除機ってどこにあるの?」

「そこ」






冷蔵庫の陰に隠れていた小さな掃除機。

それを手にして城ヶ崎くんのほうに駆け寄る。






「七宮さんってさ」

「うん」





城ヶ崎くんが怪我をしないかハラハラしながら、大きな破片を拾い終わるのを待つ。





「予想の斜め上をいくよね」

「…え?」






カチャカチャと、破片を拾う度に鳴る音が不謹慎ながらも心地良いな、なんて思っていたら。



予想の斜め上をいく、と言われた。



そ、それは。



褒め言葉?





「なんでそう、さらっと言うかな」

「…城ヶ崎くんだって予想の斜め上をいくよ」

「例えば?」





破片を拾い終わった城ヶ崎くんを確認し、掃除機のスイッチを入れた。

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