C校舎の城ヶ崎くん
「じょ、城ヶ崎くん…」
「いつから」
「え…?」
「いつから俺のこと好きだったの」
低めの声に肩をぴくっと動かす。
「そ、の…多分、保健室のときは」
「…そう」
「城ヶ崎く……」
「俺は」
鼻水のずずっ、という音が恥ずかしい。
けど、黙って聞く。
「俺は、今年の春から好きだったけど」
……………聞き間違い、かな。
今、好きって言った?
私のこと好きって言った?
そ、そ、そんなわけないよね。
「あの日、七宮さんが筆箱落として行ったのだってチャンスだと思って」
「ちょ、ちょ、ちょ!待って!待って待って!」
「…今いいとこなんだけど」
「え、え、え、えっ?」
はい?
頭が混乱してきた。だめだ。
落ち着こう、一旦落ち着こう、千代。
すぅ、と息を吸って深呼吸をする。
この深呼吸は幾度となくしてきた。
「俺も好きだよ、七宮さん」
「ぅげっほごっほ!」
吸った息を吐こうとしたら、そんなことを言われた。
すると驚いた私はむせてしまい、先程とは違う涙がちょびっと出てきた。