C校舎の城ヶ崎くん
城ヶ崎 龍…じょうがさき りゅう?


その人が登校してはダメなのか、と思い始めたそのとき、はっとした。





「城ヶ崎 龍!?」

「やっぱり知らなかったのね。まあ、わたしも門のとこでその噂を聞いたんだけど」





その名を聞いたことがない生徒なんて、この学校にはいない。


その名は最早、他校にまで知れ渡っているほどの知名度。




イケメンで不良だ。




実際少しだけ見たことがあったけど、同じ学年なのに近寄り難かった。





「ピアスあけて、髪は染めてないけどワックスでいじっててチャラいし」

「も、桃ちゃん!そんなこと言って誰かに聞こえたりしたら…」





慌てて桃ちゃんの口を押さえ、きょろきょろと周囲を見渡す。


よし、誰もこっち見てない。





「あの城ヶ崎もついに登校か…」





嫌そうに言っている桃ちゃんだけど、私にはわかる。


この顔は、ちょっぴり楽しんでいる顔だ。

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