C校舎の城ヶ崎くん
「龍?」

「ほら、1時間目始まる前に転けた子いたじゃん。その子だよね?」

「マジ?」

「マジマジ」




フードを被った可愛らしい男の子が「ね?」と同意を求めてきた。



か、可愛いぃー!!こんな可愛い男の子初めて見た。


リスやハムスターなどの小動物を連想させる男の子だった。




「は、い…」





けど恥ずかしい。

まさか覚えてた人がいたなんて。

あんなの誰も覚えてないと思ったのに。




しょぼーんとする私とは裏腹に、当たったことが嬉しかったのか「ほらね!」と胸を張っていたフードくん。




私はこの場から去るべきか、筆箱のことを尋ねてみるべきか迷った。




しかし、私には尋ねる勇気なんてものはなく、答えはひとつだった。




「そ、それでは。お邪魔しました…」




扉に手をかけ、ここから立ち去ろうとしたとき、また別の人が声をかけた。




「筆箱って、もしかして緑のやつ?」


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