C校舎の城ヶ崎くん
城ケ崎龍くん
8組の扉はこれまた閉まっており、ここに城ヶ崎くんがいるらしい。
でもなんで8組にいるんだろうか。
まあ、そんなの考えても仕方ないか。
そう思って、特に気にすることもなく扉の前まで来た。
先程のこともあったので、今度はゆっくり開けようと思う。
学習することは大事だ、うん。
あまり音をたてないように教室の後ろのほうの扉を開け、こっそりと中を覗いてみる。
「えっ……」
小さな声で呟く。
教室にいたのは、男女の2人。
お互い向き合って、シーンとしている室内で女の子が「龍…あのね…私…」と呟いていた。
私はそこまで空気が読めない、鈍い人間ではない。
これは……告白現場だ。
ごくっ、と息を呑んで覗き見る。
いや、悪いことだと思うけど、でも好奇心には勝てないというか。
だって相手があの城ヶ崎くんだし、超人気の城ヶ崎くんだし、相手の子は可愛いし。
覗いたってバレないよ。
悪魔の千代が心に現れ、私は悪魔千代に従った。
そしてコソッと後ろのほうから現場を見守る。私の筆箱のこともあるし、不穏な空気にならないといいな。