C校舎の城ヶ崎くん
「好きだった、ってなに」
「え?」
「過去形ってことは、今はそうじゃないってことだよね」
「は?」
城ヶ崎くん反論してる。確かに過去形で告白すると今は好きじゃないってことになるや。
「なんであんたがキレてんの?うっざ」
「はぁ!?」
「それに、あんたと付き合って俺にメリットあるわけ?」
「なに言って……」
「呼び出したのそっちだよね。俺、無駄な労力使わされたわけ?」
龍ヶ崎くんの反論は続く。私はそれを固唾を飲んで見つめる。
「告白なら自分から来いよ。人を呼び出した時点でお前に好感なんてない」
「は、はぁ!?」
淡々と、感情のこもっていない声色で話す龍ヶ崎は怖い。私に言われたら立ち直れないかも。
「頭の悪い女、嫌い」
「…んのっ、ざけんじゃねえよ!」
叫びながら走っていく女の子を眺めながら、呆気にとられた。
あの女の子は、本気で龍ヶ崎くんのことが好きだったのかな。だったら今、すごく悲しいんじゃないかな。
そう思うとチクリと胸が痛んだ。