C校舎の城ヶ崎くん
「だってさぁ」
「…ユッペ」
「な、なんだよ」
「うるさい」
なんと城ヶ崎くんがオレンジメッシュくんを鎮めた。
城ヶ崎が言ったことで、その人は渋々引き下がった。
「七宮と友達になったら神田さんとも仲良くなれると思ったのに」
「そんな下心で女の子が友達になってくれるわけがないでしょ」
金髪の人が本を取り出しながら言った。
私はそっと、強く握っていた拳から力を抜いた。
「七宮、さん?」
「は、はい」
「ごめん。こいつに悪気はないんだけど」
いや、ちょっとはあったよね。
私結構心に棘が突き刺さったんですけど。
でもそれは城ヶ崎くんが謝ることではない。
「う、ううん!私のほうこそ神田さんと友達じゃなくて…すいません」
オレンジメッシュくんに対して謝ったわけじゃない。
神田さんと友達じゃなくてごめん、なんて本心じゃない。
ただ、城ヶ崎くんに謝った。
代わりに謝らせてごめん、という言葉のニュアンスを含めて。
それを城ヶ崎くんが受け取ったかは、知らない。でもきっと気づいてないと思う。
軽く下げた頭を上げると、城ヶ崎くんと目があった。
「ぶはっ」
「………え」
わ、笑われたんだけど。