C校舎の城ヶ崎くん

「だから、その…女子から喧嘩売られたりしてない?」

「えっ」

「ないならいいけど。あったらちゃんと言って」

「全然ないよ!」

「そ」






も、もしかして心配してくれたのかな。


城ヶ崎くんたちが目立ってることは、本人たちもわかってるみたいだし。




「女は怖いからな」





やれやれ、と溜息を吐く城ヶ崎くんは今までどんだけ苦労してきたんだ。



でもお腹痛くなった原因がそれです、なんて言えない。




「そうだ、七宮さん」

「うん?」

「本当のトコ、好きな人とかいんの?」

「へ?」





ただ、なんとなく。


とくに話題もないから。


そういう理由で軽く聞いただけなんだろうけど。




「ななななな!えっ、なんで!?」

「普通に気になっただけ…」




いや、そうだよね!気になっただけだよね!




私は心臓の鼓動が速くなったのを感じながら、制服のスカートを握る。




す、好きな人か…。


そんなことあんまり考えたこともなかったけど。





「いないの?」

「うっ、わかんない…」

「気になる奴とかは?」

「う、うーんと……」




気になる、人。


異性で気になる人は。



城ヶ崎くん、だ。


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