C校舎の城ヶ崎くん
「龍と仲良いからサボりかなー、と思っちゃったわ」
「七宮さんは普通の女の子」
「勘違いしちゃった」
えっへっへ、とはにかむ先生は20代にも見えた。本当のとこどうなんだろう。
いや、それよりもこの先生が城ヶ崎くんの好きな人で間違いなさそう。
だって、生徒を呼び捨てって…。
城ヶ崎くんも、愛ちゃんって呼んでたし。
「じゃあ龍、さっさと教室に戻りなさいよお」
「もうちょっとだけいいじゃん」
「ダメー」
私は少しだけ頬を膨らませながら、2人のやり取りを眺める。
いちゃいちゃしすぎ!!
教師が生徒に…いいの!?
教育上よくないよ!!
城ヶ崎くんと仲良く話している先生を見て、もやもやとした何かが襲う。
「七宮さん、またお腹痛くなったらいつでも来てねえ」
「……あっ、はい」
にっこりスマイルで優しそうな声色で語りかける先生に、またしても、もやもやする。
「保健室はほとんど私しかいないからねえ。高梨先生いますか?って言わずに、普通に入って来てくれていいからねえ」
「は、はい」
高梨、先生。
この先生の名前。
フルネームは、高梨 愛とかかな。
私は、こんな優しそうで美人な先生に、もやもやとした感情を抱いた。
それがなんなのか、私にはよくわからなかった。