C校舎の城ヶ崎くん
あの後、例のもやもやとしたわだかまりが消えることはなく教室へ戻った。
「千代、掃除行こう」
「うん」
5時間目も終わって、掃除時間になった。
桃ちゃんはいつもと同じく掃除に誘ってくれた。
「中庭とか面倒だよねー。自動販売機のゴミ捨てとか男子に任せるか」
「はー?やんねえよ。お前らの仕事だろ」
「なによ、優しくないわね」
「じゃあ草取りと変わってくれんのか?」
「嫌に決まってるでしょ」
廊下ですれ違った、同じ班の男子たちに桃ちゃんは軽く喧嘩腰だ。
昨日までの、普段通りの私なら、ここで桃ちゃんを「まあまあ」と宥める。
しかし、今日はどうにもそんな気分にならなかった。
「ったく…ん?千代どうかしたの」
「い、いや!なんでもないよ!」
「ならいいけど。なにかあったら相談してよね。親友なんだから!」
トン、と自分の胸を叩いてドヤ顔を決めた桃ちゃん。
つい吹き出してしまう。
「自販機のゴミ少ないといいね、桃ちゃん」
「男子に任せりゃ、はやいのにねー!」