C校舎の城ヶ崎くん
桃ちゃんとキタロが知り合いということについて、色々と考えていた。
しかし保健室の前を通った瞬間、頭の中は違うことで悩まされた。
高梨先生。
城ヶ崎くんの好きな人。
そのことを思い出すと、チクリと胸が痛んだ。
「千代?」
「ぁ……桃ちゃん」
気づけば保健室を通り過ぎていた。
もう、保健室には行きたくないな。
何をもってそんなことを思ったのか、頭の悪い私には理解できなかったが。
「ごめん、ちょっと…」
桃ちゃんは立ち止まって俯いた。
キタロとどういう関係か知らない。2人の間柄に何かあったのかもしれない。
そんなことを思わせる雰囲気が、今の桃ちゃんにあった。
「いや、いいよ」
「ありがと…」
「だ、男子にゴミ捨て頼みに行くんでしょ?」
「そ、そうだね!」
無理やりその話は中断させられた。
桃ちゃんにとって、これでよかったのかわからないけど。
それでも桃ちゃんの悩みを聞けるほど、私に余裕はなかった。