C校舎の城ヶ崎くん


大声を出したわけでも、小さく呟いたわけでもない。


普通の声量で、眠たそうな声のトーン。


だけどその一言で煩かったこの場が静まりかえった。



私は訳が分からなかったので、取り敢えず皆と同じく黙り込んだ。




な、なんだろう。




声のしたほうを見てみると、入り口に立っている1人の男子生徒を発見した。





ぱちっと二重で、少しつり上がった大きな瞳。



ワックスか何かでいじったらしき黒髪に、少し大きめのピアスをしている。



首元には銀色の首飾りが光り、制服は指定の白いワイシャツではなく赤いシャツを着用していた。




そしてその上に羽織っている学ランは全てのボタンを全開にしていた。



その見事な制服の着崩し具合に大きな衝撃を受けた。



私には考えられない見た目をしている男子生徒に、皆釘付けとなっている。まさにC校舎代表といった格好だ。



そして私の記憶にあった男子生徒の名前が浮かび上がった。



彼こそ、私たちが目的としてきた人物、城ヶ崎龍だった。


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