C校舎の城ヶ崎くん


「龍に近寄る女をほとんど蹴散らしてたのって、実はユッペだからさ」

「へ、へえ」




蹴散らすって…。


よく漫画とかである、あれだよね。
モテすぎる男の子のために、幼馴染の女の子とかがする役割のことだよね。





「あの2人、幼稚園のときから一緒みたいでね。ユッペも成長すると、近寄る女の子たちは放置してたんだけど…」





結び終わった手を机に置き、懐かしむように瞳を細めた。





「龍に害を及ぼすような女の子だけは、ユッペが叩きのめしてたんだよね」

「た、叩き…」




さすがに身震いした。

不良はやっぱり怖い。

もしかしたら私も…、とけちょんけちょんにやられる姿を想像した。





「あ、精神的なほうでね?」

「精神…そ、そうなんだ」





肉体的ではないみたいだ。


それでもやっぱり怖いな。


ユッペはやんちゃそうな外見なのに、意外と内側は黒いんだね。




「じゃ、じゃあ私は城ヶ崎くんに近づかない方が…」




そういうことだよね。

俺の龍に近寄るな!!と、最終的には言われそうだ。

似たようなことを、もう言われたけど。





「それは、違う」





まっつんかと思いきや、声は少し低く、違うとこから聞こえた。


室内にいるのは私とまっつんと…アキ。

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