私の誠は…
「入りますよ。」
総司が部屋に入ると、赤い紐のついた苦無を研ぐ紫音。
その顔は無表情で何も読み取れない。
「それ、貴女のでは無いですよね?」
総司はなんとか会話をしようと紫音に話しかける。
「…楓のだ。知りたいか?俺と楓の関係。」
「まあ、知りたいですけど…さっきの口調はどうしたんですか?」
「俺と楓は恋人どうしだった。」
口調には触れずに紫音が答えた。
「え、それだけですか?」
「それだけだ。」
あれ?もっと、こう…深い話があると思ったんですけど…
不満そうに首をかしげる総司を尻目に紫音は、研ぎ終わった苦無を布に包んで置いた。
「あ、私もう貴女を信じます。ちゃんと仲間です。」
「…ん、ありがと。」
少しだけ頬を染めて、小さく微笑む紫音に総司は微かな胸の高鳴りを感じた気がした。