私の誠は…
「ありがとうございました。」
「いいや。あんた、野次馬もほどほどにするんだよ?」
「…はい。」
私は野次馬じゃない、命を貰いにいくの。
紫音はそう思ったが、そんな事を言えるはずもなく、足止めされる前にその場を立ち去った。
『この先を真っ直ぐ行って左に曲がった所だよ。』
『処刑はあと少しで始まる。』
言われた通りに歩いていくと、紫音が思ったとおりの人混み。
視線の先には張り付けにされた十数人の男女。
「楽にしてあげます。」
紫音に気がついた忍の仲間が周りに分からないよう、小さく頷く。
狙うは皆の心臓。
「一瞬で終わるから。皆、終わらせるから。」
紫音はそっと目を閉じた。
町人の声も役人の声も、風の音も聞こえなくなる。
「さようなら。…その命、頂戴します。」