私の誠は…
風を切る鋭い音がした。
「「「きゃーーーっ!!」」」
「だ、誰だ!?」
町人の悲鳴、役人の怒声。
張り付けにされた男女の胸に深々と刺さる苦無。
処刑場は朱に染まっていた。
紫音は一人、踵を返して来た道を戻っていく。
家族と慕ってきた仲間を殺したことに何の感情も沸かない自分自身に紫音は寒気がした。
「生きて見せます。
一族の名に懸けて。」
小さく呟いた紫音が一族の名前を知ったのは昨日だった。
何もない、白いあの場所。
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「…貴女に言ってないことがありましたね。」
「…?…何ですか?」
紫音は不思議そうに首を傾げる。
その場の空気が変わった。