私の誠は…
「土方さん、紫音です。」
「入れ。」
紫音は静かに障子を開けて部屋に入る。
「何の用ですか?」
「取り敢えず座れ。」
何かを書いていた土方は一旦筆を置き、自分の前の畳を指差した。
「明日、山崎と合流して長州を探って来い。」
「は?長州って…何処の…」
「あぁ、大阪だ。」
「は?何言ってんですか?ここ、江戸ですけど」
ふざけるなとでも言いたげな表情で紫音は首をかしげた。
そしてそれを見た土方が口角を上げる。
「お前なら一瞬だろうが」
「あ、」
「二日後の昼には帰って来い。わかったな?」
「………」
あんまり力を使いたくないのだけど…
紫音が悩んでいると、土方が盛大なため息をついた。
「お前はもうただの忍ではない。新撰組の忍だ。いい加減自覚をしろ。」
「話は終わりだ」
「失礼しました。」
"新撰組の忍"
土方の言葉は紫音の心に深く突き刺さった。