タイトル
ー神影 宗太の存在ー
彼女が
俺の存在に気づいたのは確かだ。
しかも
多分今の俺じゃない。
いろんな俺が
きっと彼女の中で重なった。
そう思える
顔だった。
諦めて
彼女に声でもかけようとしたが、
そのつもりて来たわけではないので
話す言葉が見つからなかった。
この1年間、
俺は彼女のことをずっと知っていたけど
彼女が俺のことに気づかなかったから
見てみぬフリをしてきた。
いや、
それができたというべきか。
だけど、
彼女に見つかったなら
もうそれは
できない。
できなくなった時のことなんて
考えてもいなかった。
絶体気づかれないような
気がしてたし、
なにより
今の自分に気づいてほしくなかった。