タイトル


何か
微かに音がした。



上に上がるにつれて
音は確かになっていく。






どこか
哀しい音。


どこか
音がする。








邪魔をしないように
ゆっくりと戸を開ける。



神影くんが
ピアノを弾いていた。







音を止めた。







私と目があった。







「なに、しているの?」




「…音、確かめようと…

てか、何?」





「あっ、これ…賞状。

あと、やっぱり風邪ひいて…」





「ありがとう」







ちょっとびっくり。


こんなに素直に
お礼を言うとは思っていなかった。


いやいや、
いきなり言葉を遮られたからびっくりした。









「…なに?」





「あっ、いや…」







今までぶりっ子してきたのに
いざというときには使えない。


どうしようもない。







「…忘れてるって、思ってた」






彼から
話しはじめた。

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