タイトル











        す き












彼女の顔が
面白かった。


複数の感情が
交差しているようだ。







「…渡邉さんの声、
歌声が、好きだなぁって…」







あぁ、そっそう? 

と、
だいぶテンパっている。




そんなところも
面白い。







えっと、じゃあ

と彼女は
言いかけて一口空気を飲んだ。


そして、




「…好き、だなぁって

ピアノを弾く手(笑)」







彼女はクスッと笑う。







俺は
じゃあ、と言いかけて言葉を始める。





「好き、だなぁって…

笑った顔。」 







彼女の顔が、面白い。







「えっと、じゃあ



好きだなぁって、


…えっと、えっと、





あっ

その無表じょu…!!!!!!!!





…ごっごめん」













笑えない顔で
フッと息を漏らして言った。


「好きだなぁって
いつもの"ぶりっ子❤"(笑)」










俺は改めて
ピアノに向かった。







彼女も俺も
なにも言わなかった…。








ただ少し小さく

ピアノの音がした。





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