タイトル
髪は切ったし
飾りのついたカーディガンもやめた。
ぶりっ子の要素は
多分ほとんどない。
無理矢理創ったような笑顔も
やめた。
見たことある大きな背中を
ふたつ見つけた。
二人が振り向いた。
凛くんが口をあけて
固まった。
私は
宗太くんに向かって叫んだ。
「かわいい?」
宗太くんは
口元を右手で隠すようにして笑った。
目が見えないように角度をつけてから
その右手を私に向かってつき出した。
――グッ!!!――
親指をあげて
拳をみせた。
(要するにグッドってこと)
「そうっ」
私は二人を抜かして下駄箱に向かった。
フッと笑いがこぼれた。