タイトル
「…私らは
ゆかとは違ったって…」
そっかぁ
俺らは窓を眺めた。
ベットの上からは空しか見えないけど。
「…私らはさぁ、
親が嫌いで憎んでて…
ゆかとは違う。」
「ゆかは親を憎んでなんかいなかった。
そんなゆかさえも
私らは許せなかった。」
俺はどうすることも
できなかった。
ここから出て
何かすることも出来ないし、
二人にこえをかけることもできない。
ただ俺は
俺が落ち込んではいけない、
ってわかってた。
俺が落ち込んだら
駄目だ。
俺が下を向いたら駄目だ。
下を向きそうになった顔を
グイッとあげる。
( あ )
視線を上げた先に、
映るものがあった。
―あの日の傘だ―
「…ゆかが一人になるのはわかってた。
でも、
ゆかって一人でも全然平気そうで
…むしろ
一人の方がよかったのかも。」
ユルカは苦笑した。
彼女はゆかと直接的な接点は
なかったものの、
一応同じ中学だった。
ゆかは知らないだろう、
何しろ
女子とは無縁な奴になっていたから。