タイトル
なんとか
腕を伸ばして、
傘を掴む。
雨なんて降ってないし、
まさか
病室に降るわけないけど…。
音を立てて
ゆっくりと開いた。
ずっと開いていなかった傘。
とても鮮やかで美しい傘は
花開いたように綺麗だった。
すると、
ヒラヒラと何かが落ちてきた。
どうやら、
傘に挟まっていたらしい。
小さなメモ用紙が
そこにはあった。
落ちてきたそれに
手を出した。
「…何してるの、傘なんか開いて。」
ユルカの顔をみて
俺は笑った。