タイトル


三時間、
塾で講義を受けた。


でも雨は
止んでいなかった。



「ゆ、か?」

ふと
振り向くと、同級生がいた。

中学生だった頃の…。




「…久しぶり。」

私は
少し笑って言った。


「わぁー、マジでゆかじゃん!
おひさー。」


彼女は
あの頃のように彼女のままだった。


「ゆかって、
めっちゃ遠い高校行ったんよね?」

「うん。」

「大変?」

「いや。」



そこで会話が切れた。

だから
そこでじゃあって言って帰ろうとした。



「ねぇ、ゆか。
あいつのこと、覚えてる?」

突然
腕を捕まれた。

彼女の目が
何かを求めていた。


「…あいつって?」

知っているが
あえて聞いた。



「…私が
好きだった人…。」

小さな声だった。

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