タイトル
雨が降りそうだったのに
私はあの日、
なぜか
傘を持っていなかった。
今日だって
降りそうだったのに持って来ていない。
気づいていたけど
なんか忘れてしまった。
しょうがない。
どうせもう古い傘だったし
新しい傘、買おう。
そう、
言い聞かせて私は塾の自動扉を出た。
ゴーゴーゴー…
排水溝の
すごい音がする。
こんなに
降っていたのか…。
やっぱり
空にため息をつく。
「…傘、
持ってきてねぇわ…」
後ろから
蚊のなくような声がした。