側に居ない君は。





そのことに呆れて溜め息を付けば、被害者である男のため息と被った。



…ご愁傷さま、と言いたいところだけど、これはアイツが悪い。




知らない間に止まっていた音楽に気付いたあたしはイヤフォンを耳から抜いてムクリ、起きて立ち上がる。




「……さっさとここから出ていってくれない?静紅」




面倒臭がりのあたしがわざわざ立ち上がった理由は、あたしのお気に入りの場所から立ち退いてくれないこの男を追い払うため。




雪原 静紅〈ゆきはらしずく〉



真っ黒の髪を少し遊ばせているこの男は、



雪原 真子〈ゆきはらまこ〉



あたしの義理の、











姉弟だ。














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