側に居ない君は。
バサリ、
「風邪引かれて、また母さんの小言が増えて困るの、あたしなんだからね?!」
何度呼びかけても反応しなくなった静紅に、自分用にと持ってきていた毛布をかける。
まだ肌寒いこの季節にシャツ一枚だけなんて、ただの風邪引きたい馬鹿でしょう?!
あたしなんか、まだカーディガンとブレザー羽織ってるのに!
あたしに顔が見えない様に寝転んだ静紅を睨み付ける。
「っくし、」
暫くそうしてたけど、だんだん体が冷えてきたのかくしゃみが出た。
………日の当たるところに行こう。
あたしがいつも寝転んでいるソファのところは、幸い、よく日の当たるところだから暖かい。
あぁ、疲れた。
今度こそと目を瞑れば、一瞬であたしの意識は途切れた。